(https://note.com/witty_falcon8350/n/ncf0034e0d663より転載)
宗敦司8月25日 17:23
日本経済新聞は、鹿島が三菱商事のラウンド1洋上風力発電事業から撤退すると報じた。
鹿島はこれに対してノーコメントの姿勢を貫いているが、もしもこれが事実であれば、ラウンド1洋上風力事業のプロジェクト遂行体制が崩れたことになり、実質的にプロジェクトは断念される方向にあるということだろう。
しかもその意思決定は早ければ今週中にも行われるという予想も出ている。(写真は鹿島のSEP船)
鹿島が洋上風力グループからの撤退することは、三菱商事が3海域を総取りしたラウンド1の事業遂行は難しくなる。
既に、三菱商事はコストエスカレーションのため、想定した事業採算を確保することが難しくなり、事業見直しを宣言。
今年着工予定であった千葉県銚子沖でも未だ着工されていない。
ラウンド1のプロジェクト遂行体制では風車がGEベルノバ、洋上工事が鹿島とオランダのバンオード、陸所工事が中部電力系シーテックという体制だった。
今回の報道ではこのうち洋上風力工事から企業が撤退したことになる。
鹿島が撤退するということはバンオードも撤退するため、洋上工事ができなくなるわけだ。
もちろん代わりのゼネコンが名乗りを上げればよいが、そもそもインフレで採算が合わなくなっているプロジェクトに工事業者が手を挙げるとは考えにくい。
しかもプロジェクト実施体制から撤退しているのは洋上工事だけではない。
風車を提供するはずのGEベルノバと東芝も動きは全くない。
東芝の京浜事業所にGEベルノバが風車のナセル工場を建設することで合意していたが、未だに着工されていない。
実はGEベルノバ、洋上風力向け大型風車で品質問題を起こし、業績が悪化。
昨年から洋上風力発電の新規受注を停止したままである。
正式に洋上風力から撤退すると宣言した訳ではないが、今後の洋上風力発電市場での中核機種と位置付けて開発する予定だった18MW級風車の開発も中断している。
一部では「このまま洋上風力から撤退するのではないか」と見る向きもある。
このため、三菱商事のラウンド1プロジェクトは風車と洋上工事の双方が停止しなっている。
事実上、これ以上のプロジェクト遂行は不可能となった。
これまで三菱商事は、3海域のうちもっともコストのかかる銚子沖からは撤退し、秋田の2海域についてFIT(固定価格買取)からFIP(フィードインプレミアム)へと転換する「FIP転」によって事業を遂行する考えであったと言われている。
しかし現在検討が進められている公募占用指針の見直しのなかで、FIP転には多くの批判が集まった。
経済産業省などはあくまでFIP転によって三菱商事の事業完遂を狙っていたが、明日8月26日に行われる予定の次の会議の議題からはFIP転が消えている。
これは三菱商事が事業継続を断念したことで、引き続きFIP転について議論を続ける意味がなくなったということを示す可能性がある。
従って、早ければ今週中にも三菱商事は事業断念を公表する可能性がある。
ただ三菱商事が断念しても洋上風力発電市場の厳しさは続く。海域の占有期間の延長はどうやら認定されそうだが、大きなネックとなっているコーポレートPPA市場の拡大に向けた具体的な支援策は未だ見えてこない。
早急に市場制度の整備を進めなければ、洋上風力から撤退する企業が続いていくことになるだろう。
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