再生エネルギーの切り札と考えられる風力発電ですが、森を切り倒す陸上風力は、本当に「エコ」なのでしょうか?
エコロジー(Ecology)とは本来は「生態学」を意味しますが、環境破壊や公害問題が表面化するにつれ、それを解決する学問分野であるとして生態学が注目を受けるようになり、エコロジー運動といった言葉が使われるようになりました。
本来であれば、環境破壊を食い止めるエコの切り札として注目される風力発電ですが、実態はどうでしょう。
1,CO2を吸収する樹木を大量伐採します
特に陸上風車を保安林などの森林地帯に建設する場合は、管理道路や建設場所の山頂を削るなどで、本来CO2を吸収し環境を保全してくれるはずの大量の樹木を伐採する必要があります。
2,生態系(エコシステム)に大きな影響を与えます
風力発電施設から発生する低周波音は、人間ばかりではなく、他の生物や生態系にも影響を及ぼしています。
・農業の益獣であるコウモリが激減したり、イノシシが狂暴化したとの報告。
・工事によって本来あった生態系が破壊され、森に住む動物が里に下りて獣害をもたらす。
・建設による水脈汚染で森から続く川や海が濁り、漁業への影響が生じる。
・羽の回転や乱気流に、クマタカ類や渡り鳥など多くの鳥類が巻き込まれるバードストライクが多発。
以上のように生態系へ大きなインパクトを与えることになります。
3,異常気象への影響が心配されます
風車の回転により発生する乱気流は、本来の気流の流れにも影響を及ぼし、近年多発するの異常気象への影響が懸念されています。これは、陸上風力だけではなく、海上風力も同様の懸念があるといえます。
4,火力や水力発電のバックアップ電源が、常時必要になります
風力発電や太陽光発電は、風や太陽に依存するという出力の不安定さゆえに電気の安定供給ができず、単独で発電施設として自立できません。ブラックアウトを起こさないためには、絶えず火力や水力発電などのバックアップ電源を待機し稼働させて、出力調整を続ける必要があります。そのため、どれだけ風力や太陽光パネルを増やしても、火力発電を減らすことはできないのです。
5,17年の耐用年数しかなく、稼働後は大量の廃棄物を生み出します
風力発電の耐用年数は17年しかありません。また、発電効率も20~40%といわれていますが、風が吹かなければ0%です。しかも製造・廃棄に伴う資源のコスト(撤去には1基あたり3億円といわれている)がかかってきます。また、太陽光パネルに至っては耐用年数が25~30年で、鉛やヒ素などの有害な重金属が多く使われるパネルの廃棄方法はまだ確定していません。
6,すべて私たちが払う電気料金に上乗せされる賦課金で賄われます
以上を鑑みればとてもエコとは言えず、これで経営が成り立つのは、電気を使用する一般家庭から強制的に徴収される賦課金という見えないコストが、開発事業者の経営を支えているからです。そのため、事業者は賦課金から得られる利益を享受するために、建設すること自体が目的となって、「エコな再エネのイメージ」だけを利用して、どんどん各地に風車やメガソーラー建設を進めているのです。