2024年5月14日 北海道新聞より
大能伸悟
絶滅危惧種イトウが生息する猿払川水系、猿骨川水系などの上流域にあたる宗谷管内の宗谷丘陵を中心に、風力発電国内最大手のユーラスエナジーホールディングス(東京)が最大160基の風車建設を目指す「(仮称)宗谷管内風力発電事業」に対し、自然保護団体などが危機感を強めている。
計3団体が14日までに、計画の中止を求める意見書を同社に送付した。
イトウの繁殖や生息に「甚大な影響がある」などとして14日に意見書を出したのは、猿払イトウの会や釧路自然保護協会など道内10団体でつくる「イトウ保護連絡協議会」と、日本自然保護協会(東京)。
イトウの会は独自の意見書も出しており、日本生態学会北海道地区会も15日に送付する予定。
同社の事業は稚内市と同管内豊富町、猿払村にまたがる「宗谷丘陵地区」に最大130基、同管内豊富、幌延の2町の「上幌延地区」に最大30基の風車を建設予定で、出力は国内最大級の100万㌗。
現在は環境影響評価の「計画段階環境配慮書」に次ぐ2番目の手続きにあたる「環境影響評価方法書」を公開し、今後行う調査や評価のやり方を示している段階だ。
同丘陵では昨年9月、石油元売り大手ENEOS(エネオス)の子会社が最大59基の風車を建設する内容の配慮書を公表。
国立環境研究所(茨城県つくば市)の専門家が事業想定区域内にイトウの産卵床があることなどから中止を求めた。
ユーラス社はこれより早く2年前に配慮書を公表したが、想定区域が方法書の約9倍と広大で、イトウへの影響はこれまで大きな問題になっていなかった。
方法書では「把握できているイトウの産卵床に配慮した」としているが、イトウ保護連絡協議会は猿骨川、声問川など4水系8河川が想定区域内で、すべてイトウの産卵床が確認されていると指摘。
日本自然保護協会は猿払川水系を含む「上流域のほぼ全域」が建設予定地で「森林伐採が継続的にイトウの生息地に影響を与える」としている。
ユーラス社は「どのような動植物が生息しているか把握し、事業計画の見直しを検討する」としている。

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