2024年6月11日付『北海道新聞』より
秋田県沖と愛知県沖を選定国の浮体式洋上風力発電の実証事業の候補だった石狩市浜益沖と岩宇・南後志地区沖はともに選ばれなかったが、道内が洋上風力の適地との評価は変わらない。
道内では実証事業とは別に、沖合での着床式・浮体式洋上風力の事業化に向けた国の手続きも進んでおり、地元関係者は引き続き実現に注力する。
道内の実証事業区域に応募していたある企業幹部は落胆した。不選定の理由は「提案した浮体式の技術的な部分」として、道内の海域の環境は関係ないと強調した。
実証事業計画の審査項目は、実現可能な技術や発電コスト、海外企業との連携など幅広く「総合的な審査で各計画にわずかに差が出た」(経済産業省幹部)という。
国内の洋上風力は海底に支柱を固定する着床式が先行し、2022年に秋田県の港湾で稼働し、24年1月には石狩湾新港でも運転を開始した。
より沖合の海域での事業計画は秋田県や千葉県などで進む。浮体式の商業運転は、長崎県五島市で26年の稼働が予定されているが、道内では浮体式の事業計画は現時点で出ていない。
浮体式は深海にも設置可能で、広い海に囲まれた道内は適地とされる。
自然エネルギー財団(東京)の試算によれば、洋上風力を水深300メートル未満の排他的経済水域(EEZ)まで拡大した場合、全国の洋上風力発電量のうち、風の強さなどから道内と九州がそれぞれ約3割を占めるという。
経産省は昨年10月、再エネ海域利用法に基づき、岩宇・南後志地区沖と島牧沖を浮体式の整備に向けた「準備区域」に選定。今後、利害関係者と調整できれば有望区域となり、さらに整備が可能な促進区域に進む可能性がある。
また、着床式の道内の有望区域には岩宇・南後志地区沖や石狩市沖など5区域が選定されている。
実証事業に選ばれなかったことについて、後志管内岩内町の木村清彦町長は「雇用など地域経済へのプラスの影響を考えると残念だ」と話した。石狩市の担当者は「(今後は)石狩での着床式の促進区域の指定に向け、国や道と連携して取り組んで行きたい」と話した。
法政大の高橋洋教授(エネルギー政策)は「実証で浮体式の技術が確立され、商用化の動きが本格化すれば、北海道でも浮体式の計画はいずれ出てくる」と話している。

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