後藤さんに依る、石狩湾の洋上風車についての発表があります!

北海道の話題

発表2 今日の巨大風力発電事業による大規模な環境破壊問題について―石狩湾海域の洋上風力発電計画にみる超低周波音のアセスでは?―

個人会員 後藤美智子氏    

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2023北海道科学シンポジウム

◇日時:2023年10月29日(日)10:20~17:00
◇方式:会場とZOOMによるハイブリッド方式
◇会場:札幌学院大学 新さっぽろキャンパス303教室
(札幌市厚別区厚別中央1条5丁目1-1、地下鉄新さっぽろ駅1番出口より1分)
☆第1部:研究発表(10:30~11:30)  

発表1 寒冷期以外のバイオマス燃料需要の開拓
〜十勝・幕別町でのトウモロコシ乾燥への小麦クズ燃料利用の検討〜

北海道大学工学院 岡田和也氏、北海道大学工学研究院 山形 定氏、北海道大学工学院 永野 慈氏、(株)武田鉄工所 佐藤寿樹氏、北王農林(株)藤原 昇氏、北王コンサルタント(株)石川健司氏

発表2 今日の巨大風力発電事業による大規模な環境破壊問題について―石狩湾海域の洋上風力発電計画にみる超低周波音のアセスでは?―
個人会員 後藤美智子氏

日本科学者会議北海道支部

5月26日  · 

風力発電についての要望書を決定し、大臣等に送付。

5月14日支部総会において以下の要望書が採択された。この要望書は24日、経済産業大臣、環境大臣、林野庁長官及び北海道知事あてに送付された。また、道政記者クラブにも配布した。

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北海道で増え続ける風力発電計画の見直しを求める要望書

(1)北海道では既設の風力発電324基に加え、さらに陸上風力発電1750基、洋上風力発電1460基の建設が計画されています。周辺住民からは、これが健康被害、自然破壊、景観破壊、漁業破壊などにつながるのではという懸念から、これに対して反対の声が上がっています。

(2)高周波音、超低周波音・低周波音については日本科学者会議北海道支部の大規模風力発電問題研究会が、石狩湾新港地域に建設された風車の測定を重ねた結果、高周波音は風車から離れると早く減衰したが、超低周波音・低周波音(周波数20Hz以下)は離れても減衰は多くないという結果が出ました[1]。

石狩市では、2~3㎞を超えて被害を訴える住民がいます。秋田県の由利本荘市、にかほ市では、0.7〜3.5km離れた地点で睡眠障害や低周波音を感知する住民がいたと報告されています[2]。静岡県東伊豆では、風車から1km以内の多数の住民が睡眠障害や頭痛、肩こりなどの健康問題を訴えていました[3]。しかし、この場合は、夜間に風車の回転数を下げることで、睡眠障害や健康被害が大きく減少したことは重要な事実でした[4]。

音が伝わりやすくなる条件として、音の発生源の風下になること、地表より上空の温度が高い気温逆転層が発達すること、地形が尾根などに囲まれていることなどが挙げられます。風力発電所を設置する際は、距離だけでなく、こういった音を伝わりやすくする要因も考慮する必要があります[5]。風車による音や圧力変動は、超低周波・低周波・高周波を含み、更には定常的状態ばかりでなく、パルス状波形や、その間欠的発生を含み、人への影響も複雑です。科学的には、これらに対応する総合的で丁寧な測定データや、その高精度の解析が必要になっています。

(3)洋上風車は海岸近くに計画されていますが、津波時に被害を拡大する恐れもあり、海岸から、水深の深い場所まで、離す必要があります。欧州の洋上風車は、水深の浅い大陸棚が広がっていることもあり、数10km沖合に設置されていますが、日本では海岸から1〜2kmの場所に単基出力8000 kW~15000 kWという大規模洋上風力発電所が計画されており、健康被害の拡大が心配されます。

(4)陸上風車は山稜部に多く建設されていますが、山稜部は風化が進み、岩質や土質がもろく、断層が山稜部を縦・横断している場合も多くみられます。しかし、林野庁は山稜部の保安林指定を解除し、風車建設を容認しています[6]。これは土石流など土砂災害の危険性を高める行為であり、改めるべきことです。

 小樽と余市の間に広がる毛無山で、(仮称)小樽余市風力発電所が計画されていますが、予定地周辺は水源涵養保安林などに指定され、山地災害防止林もあります。周辺には、地下水を利用している住民が多く、災害だけでなく、水への影響問題も、心配する声も上がっています。

以上の理由から、下記の4点を要望します。

1)風車音の影響を適切に評価し、住民への有害な影響が懸念される場合は、事業者に計画中止を求めること。また、周辺住民との合意のない建設を許可しないこと。

2)既設風車周辺住民の睡眠障害など、風車に関わる健康問題を把握する医療関係者を含むシステムをつくり、健康問題の訴えがある場合は、運転中止または回転数を減らすなどの対策をとること。

3)他の音源音との分離を行い、風車音の影響の総合的評価のため、風車音のパルス状圧力変動(パスカル値)とその間欠性のデータを重視し、解析には高速フーリエ変換(FFT)分析法とその時間経過(スペクトログラム)などの高精度評価法も使用すること。

4)保安林指定解除を検討する際は、森林生態系への影響を適切に評価すること。

2023年5月14日       

 日本科学者会議北海道支部

参考文献

[1]加藤やすこ「再生可能エネルギーの問題点」初版,緑風出版(2022)pp172-173

[2]佐々木憲雄、齋藤浄「既存風車による健康被害について」日本科学者会議第24回総合学術研究集会予稿・報告書 (2022) pp91-92

[3]山田大邦「石狩既設風車の低周波音・超低周波音測定と健康被害」日本の科学者vol.52、No.12 (2017) pp45-50

[4]山田大邦「風車低周波音の高次倍音構造と健康被害」日本科学者会議第24回総合学術研究集会予稿・報告書 (2022) pp87-88

[5]加藤やすこ、山田大邦、今野滋「風力発電所周辺の住民の健康と地形に関する調査」日本の科学者(2020)Vol.55 No.2

[6]市川守弘「国有林保全と風車建設」日本科学者会議第24回総合学術研究集会予稿・報告書(2022) pp89-90

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仁木町の風力発電を考える会です。 一見エコと思われる風力発電ですが、住民の健康被害にもかかわる、とても多くの問題を抱えています。 いっしょに学んでいきましょう。

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